理屈なんてわからない

ただ心が求めてる

貴方を‥ 貴方だけを‥



もう言葉は要らない
















さっきまで晴れていたのが嘘のようにまた雨が降り出した。
どうやら夕立みたいで雨はどんどん強くなってくる。
俺は構わず学校を目指した。
他の生徒はとっくに家に帰っている時間。図書館も閉館になっている時間。
先輩が居るはずがない。それはわかっているのに。
なにかに導かれるように俺は走り続けた。



傘もささずに走ってきたせいで全身びしょ濡れで。
ずっと走り続けたせいか、学校につく頃には息がぜぇぜぇで。
心臓の鼓動が凄く早くて苦しくて苦しくて。
なにやってんだろ、俺。
頭のどこかでそう思いながらも走るのを止めなかった。
日が落ちて、少し経ったくらいに学校に着いた。
学校の門の前に誰かが立っているのが見える。
先輩‥
まだ距離があるのに、暗くて視界も悪いのに、何故か先輩だってわかった。
どうして先輩が此処にいるのかとは思わなかった。
先輩は雨にうたれて、ぼんやりと街灯に照らされて。
その姿がとても幻想的でぞっとした。
そのまま雨に溶けてしまうんじゃないかと思った。
俺の前から消えてしまうんじゃないか、と‥
「‥‥‥っ‥!」
苦しかった。
心臓を鷲掴みされたみたいに。
先輩が消えてしまうと思ったら胸が苦しくて痛くて。
思わず心臓を押さえた。でも痛みは治まらない。
増していく痛みに比例して心の中の靄も広がっていくのがわかる。
「先輩!」
広がっていく靄に負けたくなくて精一杯呼んだ。
俺の声が聞こえたのか、ゆっくりと先輩は俺のほうに振り返った。
あの日と同じように視線が交わされる。
あの日と同じように引き寄せられるように足が動く。
あの日と同じように先輩も此方に歩んでくる。
胸の痛みは止んだ。
もう時を刻む音も空の涕が跳ねる音も聞こえない。





――‥この無音の空間に存在するのは二人だけ‥









「‥‥」
ほとんど無意識に名前を呼んだ。
その瞬間、何かが割れる音が響いた。なんなのかはわからない。
ただ、自分の中で何かが変わったのがわかった。
濃い霧が晴れていくみたいだった。
「英士‥」
に名前を呼ばれて心臓が跳ねた。

――気が付いた。
あぁ‥そうだったんだ。
俺たちは至近距離で見つめ合って笑った。
「英士。私、やっとわかった」
嬉しそうに微笑んでは言った。
「うん。俺も、やっとわかった」
に呼ばれてやっとわかったんだ。
「「この感情の名前が‥」」
同時に同じことを言って俺たちはまた笑った。
同じことを考えていたんだな。



‥」




身体の奥からどんどん言葉が溢れてくる
伝えたいことがいっぱいあって
伝えなきゃいけないことがいっぱいあって
それは言葉なんかで伝えきれるものじゃなくて‥



「英士‥」




自然と身体が動いてた
凍てつく雨の中抱き合って
も俺もびしょ濡れで
温かいわけはないのに
触れ合わせた唇は何故か温かくて
それだけですべてが満たされて







やっとわかったんだ
この矛盾した感情の名前が



そして気がついたんだ
自分が魔法にかかっていたことに







雨の魔法

それは甘い甘い魅惑の魔法‥



たとえ雨が止んだとしても

この魔法が二度と解けることは無い‥




















END














あとがき

終わりました。
ここまでお付き合いいただき有難うございます。
読み返すのも恐ろしいようなブツ。
結局、なんだったんだって感じですね‥。

もんぢゃサマ、本当にごめんなさい!
リクに添えてないうえ、無意味に長いし、こんな変な話で‥
懲りずにまた遊びにきてやってくださいね。
お待ちしておりますvv

2002/02/04



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