「!いるんでしょ!」
玄関のほうで郭くんが叫んでいるのが聞こえる。私は無視してつっ伏した。
「勝手に上がらせてもらうからね!」
階段を昇る音がして、足音がだんだん近づく。
「、急にどうしたの?」
「なんでもない!」
「なんでもないってことはないでしょ」
「だって私、不器用だもん!あの女の子たちみたいなチョコすら作れないもん!」
悔しくて悲しくて。
自分で言ってて涙が込み上げてくる。
はぁ‥と郭くんが溜め息を吐いたのが聞こえた。
「、なんか勘違いしてない?」
郭くんの問いに、私は何も答えなかった。
「、こっち向いて」
イヤイヤと首を振って抵抗していたら無理やり向かされた。
ぼやけた視界の中に郭くんが見える。
「、俺が形がキレイなチョコが欲しいって言ったの?」
「だって‥」
私は女の子なのに料理一つできなくて。
「あのね、俺が欲しかったのはのチョコレートだよ。不器用なが俺のために作ってくれたチョコ。
、こんなに怪我してまで俺のために作ってくれたんでしょ」
そういって郭くんが私の手にキスを一つ落とす。
「他の子からチョコを貰っても、の作ったチョコじゃなきゃ貰っても意味がないんだよ」
優しく優しくささくれだった心を溶かすように。
「‥不器用って言わないでよ」
「重点をおいて欲しかったのは、そこじゃないんだけど」
「うん。わかってる」
わかってるよ。
郭くんのたった一言でこんなにも変わる私の気持ち。
我ながら単純だと笑ってしまう。
でも、仕方ないよね。
悔しいくらい郭くんが好きなんだから。
「、チョコくれる?」
「嫌だって言っても貰ってもらうもん」
そんな私を見て郭くんは微笑んだ。
悔しいくらい好きな貴方のためなら
どんな苦労も何ともないよ
貴方が隣にいてくれるだけで
貴方からのたった一言で
こんなにも幸せになれるんだから
来年もチョコを送ろう
大好きな貴方に
END
あとがき
122HIT。桐子サマに捧ぐ。
桐子サマ、英士くんカッコよくならなくてごめんなさい!
こんなものですが受けとってやってください。
では、また遊びにきてやってくださいね。
お待ちしておりますvv
2002/02/06
もっと甘々が見たいという乙女な方。すっごくくさいセリフも平気という方。
おまけを読んでみますか?